家族や友人のそばで働くということ
地元に戻りたくなる理由
現在は都会で働いていても、いずれは自分が生まれ育った地元で働きたいと考えている人が多いようです。地方出身で現在都会で働いている30代以下の介護職に対して、なにをきっかけに地元で働くことを考えるか?といったアンケートを取ったところ、地元で暮らす親に対する心配、という回答がその多くを占めました。
30代以下の親であれば、そこまで高齢ではなくまだ元気な状態の人が多いとは思いますが、やはり将来のことを考えると不安な部分も多いようです。仮に何か起こったとしても、近くに暮らしていればすぐに駆け付けることもできます。
そのほかの理由だと、都会の環境に疲れた、現在の職場の人間関係が悪い、などといったものがあります。また、2011年に起きた東日本大震災をきっかけに家族のことについて考えるようになった、という理由もありました。日々の生活や仕事で感じるストレスも、慣れ親しんだ地元の環境に身を置くことによって解消できるのかもしれません。
地元で働くといっても、その地域によって環境は異なりますが、介護職の場合は日本全体で需要が高いということもあり、今までのスキルを活かせる環境が多くあるでしょう。地元には大切な家族だけではなく旧知の仲である友人たちもいます。そのため、精神的にも安定した暮らしを手に入れることができます。
地元に戻ったDさんの体験談
Dさんは都内の大学を卒業後、大手企業の運営する介護施設に就職して管理者として働いていました。結婚をして2人の子どもにも恵まれ、仕事と子育てを両立しながら働いていましたが、ある日地元で一人暮らしをしていたDさんの母親が病気で倒れました。それをきっかけに地元で働くことを決意したDさんですが、働いていた介護施設が大手ということもあり全国各地に事業所を持っていたため、スムーズに働き口も見つかりました。残念ながら、地元に戻ってから半年後にDさんの母親は亡くなってしまいましたが、一緒についてきてくれた子どもたちが精神的な支えになったとのことです。Dさんから、地元で働くことを検討している人に向けてなにかアドバイスはないかと伺ったところ、以下のような言葉をいただきました。
「介護職の人材不足は都会だけではなく地方も同じ状況です。そのため、介護職として転職するのであれば地方であっても手厚い待遇で迎えてくれるところが多くあります。慣れ親しんだ土地とはいえ、環境を変えるというのは非常に勇気のいることです。ですが、自分自身『もっと早く戻っていれば』という思いもあり、みなさんには出来る限り早めに準備をしておくようおすすめします。しっかりと計画を立てて、日ごろから求人情報などをこまめにチェックしておくことが大切だと思います。」